F値とは、写真のボケを調節できる値です。
レンズの「絞り羽根」といわれるパーツを動かすとF値が変化し、写真にボケを出すことができます。
一眼カメラの楽しいところは、なんといっても写真のボケ感。被写体の後ろをボケさせるオーソドックスな背景ボケや、幻想的な丸ボケなど、ボケを使いこなせるようになると写真はグッと楽しくなりますよ。
この記事では、そんなボケを自由自在に操るためのF値の役割や、数値ごとの比較、目安などを解説します。
F値(絞り値)とは
F値の数字は、レンズ内の絞り羽根をどれくらい絞っているかを数値で表したものです。
F値が小さいほど絞りは少なく、F値が大きいほど絞りは多くなります。
レンズによって調節できるF値は変わるので、数値は覚えなくてもOK。「F値=絞り具合」と覚えておけば問題ありません。
また、光が通る穴を開放していることから、F値をまったく上げない(絞らない)状態のことを「開放」といいます。「開放で撮る」という説明が出てきたときは、F値が一番小さい状態で撮ると覚えておきましょう。
F値には2つの役割がある
F値を調節する理由は、大きく分けて2つあります。
- ピントが合う範囲を調節する
- カメラに入る光の量を調節する
1. ピントの合う範囲を調節する
F値を変えることによって、ピントの合う範囲が変わります。
F値が小さいほどピントが合う範囲は狭く、F値が大きいほどピントの合う範囲は広くなります。
この、ピントの合う範囲がボケに大きく影響してきます。
2. カメラに入る光の量を調節する
F値を変えると、レンズ内の絞り羽根が動いてカメラに取り込む光の量を調節できます。
F値 | F1.4 | F16 |
---|---|---|
絞りの大きさ | 小さい | 大きい |
取り込む光の量 | 多い | 少ない |
写真の明るさ | 明るい | 暗い |
光を取り込む量が多ければ写真は明るく、反対に取り込む量が少なければ写真は暗くなります。
この辺りを上手いこと調整できるかどうかが、F値を使いこなすコツです。
写真の明るさを決める要素は、F値以外にもシャッタースピードとISO感度があり、3大要素と呼ばれています
F値でボケが出る仕組み
F値を変えるとボケが出るのは、ピントが合っていないからです。
被写体にピントが合わなくてぼやっとしてしまうことをピンボケといいますが、意図的にピントを合わせず、あえてピンボケさせているのがボケの正体。
上の写真はカメラ周辺だけピントを合わせていて、手前や奥にはピントが合っていない状態です。被写体の前と後ろのピントをあえて外すことで、被写体を引き立てる演出をしています。
「F値でボケを出す」と聞くと難しく感じますが、要は「ピントが合っていない」だけなんです
F値ごとのボケを比較
カメラを三脚に固定して、同じ配置・画角・距離で撮影したものです。
奥に配置した車のボケ感が、大きく異なることがわかります。F値が小さいほどピントの合う範囲は狭く(ボケやすく)、F値が大きいほどピントの合う範囲が広く(ボケにくく)なるためです。
ボケ感のある写真が撮りたいときは、F値を下げればボケると覚えておきましょう。
F値は低い方がいい?絞り開放のデメリット
F値は、基本的に低い方がおすすめ。
多種多様なボケ感が出るのはもちろん、写真の明るさにも影響してくるからです。
とはいえ、とにかくF値を下げれば正解、というわけでもないのが難しいところ。F値を下げることによるデメリットも存在します。
- ピントの合う範囲が狭くなるため、動く被写体をとらえるのが難しい
- 風景や集合写真など全体にピントを合わせたいときにボケてしまう
F値は基本的に開放寄りで撮るスタイルで、必要に応じて調整すると良いでしょう。
F値を設定するときの目安
- F2.8 – ボケ感を出したい撮影に
- F4 – スナップ写真の撮影に
- F8 – 全体にピントを合わせる風景写真の撮影に
F2.8 – ボケ感を出したい撮影に
F2.8あたりは一眼カメラの中でも小さなF値です。
背景ボケが大きいため、被写体を強調したいシーンでの撮影におすすめ。F値の小ささに特化した単焦点レンズだとF1.4などがあり、さらにボケ感を強く出せます。光を取り込む量も増えるため、暗い場所での撮影でも活躍します。
F4 – スナップ写真の撮影に
F4あたりは、バランスに優れたF値でボケ感とシャープさを両立させることができます。
カメラとセットになっているキットレンズの最小F値がF4~F5.6あたりになっていることが多く、初心者でも扱いやすいF値。スナップ写真のようにさっと構えてもブレにくいです。
F8 – 全体にピントを合わせる風景写真の撮影に
F8以上は風景などの全体をシャープに写したいシーンで活躍します。
取り込む光の量が少なくなるため、写真は暗くなりがちに。手ブレもしやすくなるため、三脚でカメラを固定したり、シャッタースピード・ISO感度を上げて補ったりする必要があります。
F値の扱いを覚えてボケ感を楽しもう
- F値とはピントの合う範囲と明るさを調節する数値
- F値が小さいとボケる、F値が大きいとくっきり
- F値が小さいと明るく、F値が大きいと暗く
ボケ感のある写真は撮っていて楽しいですし、モチベーションのアップにもつながります。
カメラの撮影モードをAvモード(絞り優先モード)にすれば、F値以外の設定をカメラに任せてボケを出すことに集中できるのでおすすめです。
カメラを買ったばかりの初心者は、F値を小さくしていろいろな被写体をボケ感のある写真を撮ってみてください。