一眼カメラの醍醐味は、なんといってもボケ味ですよね。
背景をボカすことで被写体をグッと引き立てる魅力がありますが、そこへ立ちはだかるのが「F値」の壁。なにをどうすれば上手にボケ味を出せるのかわからず、カメラに任せっきりで撮影している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、F値ってそもそも何?という基本的なことについて解説していきます。
F値とは
まずは「F値ってどういう意味?」という方のために、言葉の意味を見ていきます。
写真を撮るためには、外部の光をカメラの撮像素子に届けなければいけません。レンズはカメラの撮像素子に光を届けるための中継役を担っていて、中継する際に光量を調節することで、写真の明るさやボケ味を調節できます。
では、どのように光量を調節するのか?その答えはレンズのなかにあります。
レンズ内には絞り羽と呼ばれる羽があり、羽を絞ったり開いたりすることで光量の調節を可能にしました。
F値はこの絞り羽を「どれくらい絞るのか」数値で表したものです。

図にしてみるとこんな感じ。
F値(絞り値)と穴の大きさが反比例していてややこしいので、「F値が小さいとボケ味が出る」とだけ覚えておけばひとまずOKです。
- F値(絞り値)が大きい⇒光の通る穴が小さい⇒取り込む光の量が減る
- F値(絞り値)が小さい⇒光の通る穴が大きい⇒取り込む光の量が増える
ボケに適しているレンズ
一般的にボケやすいのは、焦点距離が長いレンズです。撒き餌レンズとしても有名な単焦点レンズだと、50mm(35mm換算)以上であれば綺麗に背景をボカせます。
カメラ初心者の方は標準ズームレンズを使っていることが多いですよね。
もちろん単焦点レンズを持っていなくても大丈夫。F値を低く設定して望遠(焦点距離を長く)にすることでボケを生み出すことが可能です。
F値を調節して綺麗なボケを出す方法
続いては、F値を調節して綺麗に背景をぼかす方法についてご紹介します。
カメラ初心者にもわかりやすいよう、今回はNikonの標準ズームレンズ「AF-S NIKKOR 24-85mm F:3.5-4.5G」で見ていきますので、参考にしてみてください。
カメラモードを「Aモード(絞り優先)」にする
カメラモードをオートで撮影している方は、絞り優先の「Aモード」に切り替えましょう。切り替えはアルファベットが書かれたダイヤルを回すとできます。

Aモードは、F値に合わせてシャッタースピードやISOをオートで設定してくれるモードです。
すべて適正に設定できるのであればマニュアルモードでも構いません。ですが、ここではカメラ初心者がまずF値を体感できるように、F値以外の設定はオートで行います。
絞り値を開放値にする
絞り優先モードにしたら、次はF値を開放値まで下げましょう。開放値というのは、レンズをまったく絞らない状態、つまりF値が一番ひくい状態を指します。

AF-S NIKKOR 24-85mm F:3.5-4.5Gの場合は、最小F値が3.5なので「F3.5」になるまで下げます。
ピントを合わせながら距離を調整する
F値の設定が終わったら、あとはファインダーを覗きながらピントと距離を調整します。
メインの被写体と背景の距離が遠いほど綺麗なボケ味になるので、あまりボケて見えない方は距離を離してみてください。
F値でボケ味を出すときの注意点
最後にF値を調節してボケ味を出す際に気を付けるポイントをご紹介します。
開放値に近づくほど被写界深度が浅くなる
少しややこしい話なのですが、F値を開放値に近づけると、被写界深度というピントの合う範囲が狭くなります。
どうして範囲が狭くなるのかは別の機会にお話ししますが、ピントの合う範囲が狭くなるとピンボケしやすくなってしまうんですよね。
初心者がやりがちな失敗例としては集合写真です。F値を下げるとピントを合わせた中心の人物がはっきり写っていても、端っこにいる人物の顔はボケてしまうなんてことがよくあります。
写真を撮る際、不必要に背景をぼかす必要はありません。ピントを合わせる範囲が広いときは、おとなしくF値を適正な数値まで上げるようにしましょう。
明るさが変わるため白飛びや黒つぶれが発生する
F値がすべての原因というわけではありませんが、F値を調整することで、写真が白飛びあるいは黒つぶれが発生する可能性があります。
その原因は、最初にお話しした絞り羽が関係しています。F値が低いとカメラに取り込む光の量が増えるので、明るくなりすぎて白飛びしやすいです。
とはいえ、F値で明るさが変わるのはマニュアル(M)モードでの話ですので、絞り優先(A)モードで撮影する方は気にせずパシャパシャ撮りましょう。
F値を活かしてボケのある写真を撮ろう
今回はカメラ初心者が知りたいF値についてでした。
ボケ味のある写真は撮っていて楽しいですし、モチベーションのアップにもつながります。まずはオートモードを卒業して、Aモードでどんどんボカしていきましょう。