写真の四隅が暗くなってしまう周辺減光。せっかく綺麗な景色を撮影しても、微妙な写りになるともったいないですよね。
この記事では、周辺減光が発生する原因と対処法、そして上手く付き合っていく方法について解説します。
周辺減光とは
タイトルでも書いてある通り、周辺減光は写真の四隅が暗くなってしまう現象です。
色のトーンが統一されている風景写真などは周辺減光が目立つのでよく見かけますよね。周辺減光は漢字を見て察するように、周辺の光が減ることで発生します。
周辺減光が発生する原因
光の量が減ることによって発生する周辺減光。では「光量が減る」とはどのような状態を指しているのでしょうか。
周辺減光の原因としては、
- 口径食
- コサイン四乗則
上記の二つが挙げられます。
わかりやすいように写真や図を用意したので、詳しく見てみましょう。
口径食
上記は開放値に設定した単焦点レンズです。
レンズを正面から見たときはきれいな円が見えますよね。しかし斜めからレンズを見たとき、欠けた月のように口径の一部分が見えなくなります。
口径の見える面積が小さいということは、センサーに届く光量も少なくなります。そのため、斜めから入ってきた光は口径の見えない部分を通ることがなく減光してしまうのです。
後述しますが、口径食による周辺減光はレンズの絞りを変えることで軽減することが可能です。
コサイン四乗則
もうひとつの原因は、コサイン四乗則です。
上記の図をご覧ください。正面よりも斜めの方が光とセンサーの距離が長くなっていますよね。
海底には光が届かないように、光源とセンサーの距離が伸びるほど光も輝きを失っていくので、写真の四隅にまで行き届かずに暗くなってしまうのです。
このコサイン四乗則は、口径食のような対策がありません。ですので、「周辺減光の原因」として頭の隅に入れておくだけでOKです。
周辺減光が発生しやすい条件
周辺減光は、イメージセンサー(撮像素子)に届く光量が減ることで発生するとお話ししました。
次は周辺減光が発生しやすい条件について見ていきましょう。
絞り値を開放にしている
レンズは絞絞り羽を絞れば絞るほど口径食が軽減されていきます。
絞り開放……つまりまったく絞らない状態だと、先ほどの画像のように口径食の影響をモロに受けてしまいます。
F値がどれくらい変えられるかはレンズによって異なりますが、F値が大きいほど、絞り羽を絞るほど周辺減光の発生を抑えることが可能です。
広角レンズでの撮影
コサイン四乗則にのっとると、レンズの口径が大きくなるほど周辺減光は発生しやすくなります。
広角は必然的にレンズの口径が大きくなるため、周辺減光も発生しやすいということです。
とはいえ、レンズの性能や設計によって周辺減光の出やすさは変わりますので、「広角レンズは周辺減光が出やすい」といった認識を持つだけでいいでしょう。
センサーサイズがフルサイズ
レンズ口径の大きさと同じように影響があるのがセンサーサイズ。
フルサイズはマイクロフォーサーズやAPS-Cに比べて光とセンサーの距離が長くなるため、コサイン四乗則の理論上は周辺減光が出やすくなります。
ただし、センサーの大きさをあとから変えることはできないので、こちらも「センサーサイズが大きいほど周辺減光が出やすい」とだけ覚えておきましょう。
周辺減光を消す方法
周辺減光を起こさないためには、レンズに入る光ができるだけ少なくならないようにする、あとから編集で処理するといった方法が主流です。
ここからは周辺減光の対処法について解説します。
絞り値を上げる
レンズ内の口径食が大きいほど周辺減光が出やすいのであれば、絞り値を上げて口径食を小さくすることで解決します。完全に周辺減光がなくなるわけではありませんが、軽減する程度なら効果は十分です。
特に背景をボカす必要のない風景などが被写体の場合は、F値を1~2段絞ったところで大した影響はないため、できるだけ絞った方が良いでしょう。
編集で明るさを上げる
現像ソフトや編集ソフトを使うひとならすでに知っているかもしれませんが、あとから周辺減光やレンズの歪みを修正する機能があります。
iPhoneのカメラロールにある編集でも「ビネット」という項目で周辺減光をプラスもしくはマイナスに調整できますよね。
周辺減光と上手く付き合うことが大切
周辺減光は口径食やコサイン四乗則のほかにも、オールドレンズで撮影したときに出やすいです。
そのため、レトロ感のある写真を撮りたいときは、あえて周辺減光を出すといったテクニックも存在します。
ほかにも周辺が暗くなることを利用して被写体を引き立てる構図を作ることが可能です。特に日の丸構図との相性が良く、味のある写真に仕上がります。
とはいえ、むやみやたらと周辺減光を起こしては意味がありません。必要な構図を見極める力が必要になるでしょう。
まとめ
周辺減光は「口径食」「コサイン四乗則」によって発生します。
しかし、使い方によっては味のある写真にすることもできるため、上手に付き合っていくことが大切です。
個性を活かした写真が撮りたいときは、あえて周辺減光を出してみるのも面白いかもしれませんね。